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FPC通信

FPC社会保険労務士法人・関西中央労務協会 メールマガジン
 【第109号・令和6年(2024年)6月】

新年度が始まり、早くも2カ月が経ちました。新入社員が職場にも慣れて活気づく職場もあるでしょうが、近年はこの時期になると、退職代行サービスの話題を耳にすることが多くなってきました。退職の意思表示を自分で行わずに、お金を支払って退職の手続きを代行して貰うわけですが、若い子を中心に利用者を増やしており、認知度は約8割という調査結果もあり、一般化してきております。

一口に退職代行サービスと言っても運営主体に応じて「①弁護士事務所系」「②労働組合系」「③民間の退職代行サービス」の3タイプに分けられます。「①弁護士事務所系」の場合は本人の代理人となり会社と直接交渉が可能です。「②労働組合系」の場合も、会社に対する団体交渉権が認められているため、会社と直接交渉が可能です。「③民間の退職代行サービス」は本人に代わって会社に退職届を提出することしかできず、本人の代わりに会社と直接交渉することはできません。直接交渉すると弁護士法違反となる可能性が高いです。この3タイプの中のうち「③民間の退職代行サービス」が圧倒的に数が多いです。

また、即日退職に応じる必要があるかどうかですが、民法では、「雇用は、解約の申し入れの日から二週間を経過することによって終了する」と規定されており、即日退職に応じる必要はありません。
ただし、本人が出社することは考えにくいですし、月をまたぐと社会保険料が発生しますので、強硬に拒絶するよりも、速やかに退職の手続きをとることが得策といえるでしょう。

最後に、自社の新入社員がこうしたサービスを利用しないように、普段からコミュニケーションを取り、風通しの良い職場づくりを心掛けていきましょう。

プチニュース

  1. 改正育児・介護休業法が成立しました。

    令和6年5月24日、仕事と育児・介護の両立を支援する改正育児・介護休業法が成立しました。令和7年4月1日から施行される主な改正事項は次のとおりです。
    ・3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。
    ・残業免除の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子(現行は3歳になるまでの子)を養育する労働者に拡大する。
    ・子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大する

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    https://www.mhlw.go.jp/content/001222652.pdf
  2. 令和6年4月からの労災保険率等が公表されました。

    令和6年4月からの労災保険率は、全体の平均では4.5/1,000から4.4/1,000となり、1,000分の0.1の引き下げとなります。
    54業種のうち、引下げとなるのは17業種、引上げとなるのは3業種です。

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/rousaihoken06/rousai_hokenritsu_kaitei.html
  3. 令和6年4月からの雇用保険料率について公表されました。

    令和5年度の雇用保険料率から変更はありません。

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    https://www.mhlw.go.jp/content/001211914.pdf
  4. 令和6年4月から障害者の法定雇用率が引上げられます。

    民間企業の障害者の法定雇用率が令和6年4月から2.5%、令和8年7月から2.7%に引上げられます。
    また、週所定労働時間10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者についても、雇用率上、0.5カウントとして算入できるようになります。

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf
  5. 両立支援等助成金に「育休中等業務代替支援コース」が新設されました。

    令和6年1月から両立支援等助成金に「育休中等業務代替支援コース」が新設され、育児休業や育児短時間勤務を取得、利用する方の業務を代替する体制整備に対する支援が強化されます。
    中小事業主が周囲の労働者に手当等を支払って代替させた場合、代替する労働者を新規雇用した場合、助成金の対象となります。

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    https://www.mhlw.go.jp/content/001240558.pdf
  6. キャリアアップ助成金(正社員化コース)が拡充されました。

    キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、非正規雇用労働者を正社員に転換した事業主に対して助成金を支給する制度ですが、令和5年11月29日から拡充されました。
    (1)助成額の見直し
    1人当たりの助成金が57万円から80万円に増額されました。
    (2)対象となる有期雇用労働者の要件緩和
    対象となる有期雇用労働者の雇用期間が、「6カ月以上3年以内」から「6カ月以上」に緩和されました。
    ただし、有期雇用期間が通算5年を超えた有期雇用労働者については、無期雇用とみなし助成額は半額となります。
    (3)正社員転換制度の規定に関する加算措置
      新たに正社員転換制度の導入に取り組む事業主に対して、20万円が支給されます。
    (4)多様な正社員制度規定に関する加算措置
      「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換した場合、40万円が助成されます。

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001172971.pdf
  7. 協会けんぽより「年収(130万円)の壁」への対応に関する情報が公表されています。

    令和5年11月9日、協会けんぽは「令和5年度被扶養者資格再確認の実施方法等について」を更新し、「年収(130万円)の壁」への対応に関する情報を公表しました。
    被扶養者の収入確認を行った際に、年収が130万円(被扶養者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害を有する者の場合は180万円)以上の場合であって、人手不足による労働時間延長等に伴い、一時的に収入が増加していることが確認できた場合は、被扶養者状況リストの「変更なし」にチェックし、「一時的な収入変動」に係る事業主の証明を被扶養者状況リスト等と併せて提出することとされています。

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat590/info231023/
  8. 「年収の壁・支援強化パッケージ」の具体的な取り扱いが示されました。

    令和5年9月27日に「年収の壁・支援強化パッケージ」が公表され、10月20日から助成金の手続きが開始されました。厚生労働省の専用ページも更新され、「社会保険適用促進手当」に関するQ&Aや、いわゆる「130万円の壁」に対応するための「事業主の証明による被扶養者認定」に関するQ&Aも公表されています。
    (1)106万円の壁への対応
    手取り収入を減らさない取り組みを実施する企業に対し、労働者1人当たり最大50万円助成
    (2)130万円の壁への対応
    事業主の証明による被扶養者認定の円滑化
    (3)配偶者手当への対応
    企業の配偶者手当の見直し促進

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
  9. 令和6年4月からの労働条件明示のルール変更に関する施行通達等が公表されました。

    厚生労働省より、令和6年4月からの労働条件明示のルール変更に関する施行通達等が新たに公表されました。通達以外にも、各種リーフレットやQ&Aの他、改正に対応した「モデル労働条件通知書」も紹介されていますので、確認の上準備を進めておきたいところです。

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html

ご案内

  • 労働保険年度更新の手続きのご案内

    労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度)を単位として、すべての労働者(雇用保険は被保険者)に支払われる賃金総額にその事業ごとに定められた保険料率を乗じて計算します。
    労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付頂き、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算する方法をとっています。
    事業主は、前年度の確定保険料および新年度の概算保険料を申告・納付する手続きを、毎年6月1日から7月10日までの間に行う必要があります。
    当法人では労働保険事務組合を併設しており、年度更新業務を承っております。
    個別事業所の事業主の皆様は、この機会に是非ご加入をご検討下さい。

  • 賞与のお支払いについて

    賞与のお支払いが発生致しました際には、お手数ですが当法人までお知らせ下さい。

  • 健康保険証の返却について

    退職された従業員様の健康保険証は当法人を通じて日本年金機構の各支部へ返却しておりますが、返却の時期や、日本年金機構と全国健康保険協会の間で返却確認の情報にタイムラグがあるため、退職された従業員様へ返却の依頼通知が届く場合があります。
    返却しているにも関わらず、そのような通知が届いた場合は破棄いただき、返却していない場合は速やかにご返却いただきますよう従業員様へご案内ください。
    ご不明な点がありましたら、当法人へお問合せいただきますようお願い致します。

  • 労務管理等のことでお困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。